見栄えのよくなった祠には、欠かさずお供え物があがり、風船のように大きく膨れた福の神でございます
あいもかわらず日向ぼっこに、思い出しては書きしるし、書いては消した大福帳は、習字の書き損じよりもお粗末なものでございました。
しかし、本人だけはご自慢のもの。といっても見せる相手はいないのですが、
赤いチャンチャンコの帽子と、大福帳をぶら下げたスタイルの、福の神ができあがったのでございま
陽気がよくなるほどにお供え物もふえてくる。
そのころになって、体が大きくなっていることに、ようやく気ずいた福の神でございます。少しは、ダイエット運動でもしなくてはと 田植え歌 が聞こえてくれば、ふとった体をユサユサゆらしダイエット・ダンス。
馬っこ、牛っこが通れば、ヨイショと乗ったのはいいけれど、帰りのことは考えていない。
ゼイゼイ息きをこらし帰宅。“これはかなわん”とおもったけれど、見れば乗りたくなり、帰りはまた乗るチャンスを待ち、気長に、本当に気長に待っていたのでございます。