「う−んと・・・。祠が出来だのは一月半ばの三九郎のちょっとまえのときだった。
なんかいろいろあがったな−。お神酒・団子・だいこん・たづくり・・・。そうだ、柿に栗に昆布もあったようなきがした。なにせいっぺんにいろいろあがったんで、腹痛をおこしてしまったもんな−。
 三九郎は本当に久しぶりだった。本平じいさまが神木を子供達と運んで来て、正月の松飾りででっかい松の塔を作ったもんな−。
中は小屋になっていて子供達が餅なんか食いながら遊んでいたっけ。
おいらにも餅や繭玉団子があがり楽しかった。夜の遅くまで子供達の笑い声が聞けたのは最高だった。

なんたって火をつける日には、村の衆みんなあつまてきたもんな−。村にあんなに人が居たなんて思ってもみなかった。三九郎の火で繭玉団子を焼くと虫歯にならないとか、風邪をひかないとか、丈夫になるとか言っていたけど本当かな?。

木平じいさまは三九郎の火にあたると若返るとか、火が高く上がると豊年だといっていたな−。信心深い木平じいさまの言うことだから本当かもしれん。
だけンど、道祖
神を喜ばせると縁がまとまるとか、いい嫁っこがもらえると言われてもな−・・・。

もっと難儀なのは、五穀豊饒・家内安全・炎天当たり・商売繁盛といきなり言われて、おいらにゃなんの事か分からない。ありゃあえらく胃にこたえた。そのことは後回しにしょう。
それにしても子供達が歌った三九郎の歌は面白かった。
男衆なんかおおはしゃ
ぎだったし、娘っこは顔を真っ赤にしていた。え−と、歌い出しはどうだったっけ・・

ウン!これならいい

と、ひざを打ち

大福帳 とかきました

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