夏のよるはまだ宵ながら明けぬるを
雲のいづくに月宿るらむ
清原深養父 きよはらの あかやぶ 古今集
季節は夏。白々とあけてきた東の空に下弦の月。月見酒の席で即興に詠んだかも知れないといわれていますが、この月はどうもあやしい。「夏の夜はみじかいねー。あなたは今夜はどこに行かれるの」と皮肉交じりの男のジェラシーがある。
我の縁台にはいつも酒瓶が寝そべっているが、とても酒を飲みながらこんなに艶っぽい歌を楽しむなんていかない.。夏の夜明けの月は何度も見ているが、どことなくなごりおしそうで観月をおすすめします。色っぽさがあれば、もっともっと・・・・。
有明のつれなく見えし別れより
暁ばかり憂きものはなし
恋心の詩歌には多くの女性たちの切々たるため息が聞こえてきますが、男の未練たらして歌もけっこう有り「こおいう奴が女たらしなんだよなー」と、これまたジェラシーがふつふつと沸いてきます。まったくの自己流でかような歌を読んでいますと、アルコール漬けのふやふやな思考ながら、古今を問わず文学世界は男と女の物語。万葉集は失恋歌ばかりでうんざりするなどと、浅学をかえりみず判ったようなことを先に書いたのが恥ずかしくなってきました。男と女が居なくして未来もあったものでわない。今からでもおそくはない。「有明の月」を共に迎えるようにがんばりましょう.
有明の月とは月齢20日以降、下弦の月あたりから翌朝までの月
壬生忠みね
自内証・・迷妄の道を先導してくれる友ができる